これまで幾重にも世界中の諸先輩方によって研究され続けてきた『ヴィンテージギター』なるもの。
当然私共も年間何度もVintageを触り解剖し、修理、ケア、販売する機会があるわけですが、そんなヒトコマを今夜二本立てでお届け。
今回は、1967年製 Gibson ES-335TDC Cherrry with OHC.
モデル名の由来は、ES=Electric(電気の)・Spanish(スパニッシュスタイル=いわゆるスチールギターや膝の上に置いて弾くギターではなく、脇に抱えて弾くスタイル。)を意味しておりまして、
“335”については、諸説ありますが1958年の発売時に米国内での一般小売り価格が$335だったという説が有力のようです。ところが、では、“TDC”とは何を意味するのでしょうか?
T=Thinline(薄型の空洞構造)・D=Double(ダブルマイク=2xピックアップ)を意味しているというのが通説となっていますが、では“C”は?
C=Cutawayという風にネット検索では書かれていたりもしましたが、それではES-150やES-175はどうなる?という思いに駆られ、数年ぶりに書庫の洋書を引っ張り出してきて、『The Gibson 335』を熟読しました。
この時点(本を再び紐解き記憶を洗い直した時より前)では、TDC=Thinline Double cutawayじゃないのか?という気持ちや、はたまたC=Center blockを指したのではないか?という考えが生じていました。
ところが、そのHistory Bookには驚くべき事実が記されていました。
きっと、知らない方も多いと思います。なんと1958年にはES-335TDCなる型番のモデルは存在せず、
| Model Name | 1958 | 1959 | 1960 | 1961 |
| 335TD (Sunburst) | 267本 | 521本 | 405本 | 466本 |
| 335TDN (Natural) | 50本 | 71本 | 88本 | −−− |
| 335TDC (Cherry) | −−− | −−− | 21本 | 420本 |
こういう生産本数となっており、そうです、TDCのCは色=Cherryを指していたのです。
では、ES-345TD SVやES-355TD SVのSVは何を指すかと申しますと、SV=Stereo Varitoneを意味しています。
これでお分かりのように、もっとも335の中で希少価値が高く高値となっている“ブロンド”の335とはES-335TDNのことで、わずか3年の間に、計209本しか作られていないんですね。
さすがに300万も400万もゆうにするわけです。
今回販売する335は1967年製の『ES-335TDC』というわけですね。
それでは、また。
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