こんばんは。
曇りや雨という天気予報と打って変わって暖かい週末となりましたね。
Tでございます。
本日はお客さまよりお問い合わせを頂きましたので、その件について書いてみようと思います。
お客さまから頂いたご質問は、「Rosewood Limited」ってどんなギター?という内容。
丁度良い機会ですので、この極めて貴重なギターの歴史を改めて紐解いてみましょう。
「Rosewood Limited」は、今を遡ること15年前の1996年に発表されました。
当時、ネックが取れるサイズの良質なインディアンローズウッドのブランクを入手したPRS社は、
またとない機会が訪れたとローズウッドネックのギターの開発を始めます。
1994年に発売されたMcCartyをベースに開発は進められました。
製作はPRS Custom Shop(※1)が担当し、リミテッドモデルとして製作されます。
(※1)PRS Custom Shopとは・・・
少数精鋭、熟練のクラフトマン達によって組織されたPRS Custom ShopはArtistシリーズ、Dragonシリーズ、10th Anniversary等の名器たちを世に送り出しました。
最高級の材を使用し、熟練のクラフトマンが製作するCustom Shop Madeのギターは、
見た目だけではなく、プレイアビリティ、音質共にレギュラーラインとは一線を画す極上のトーンを提供してくれます。
Custom Shopはハイエンドラインの製作を担当するとともに、新機種の開発も担当しており、Prototypeの製作もCustom Shopの業務でした。
よく勘違いされますが、Rosewood Limitedに使用されているネック材は上質なIndian Rosewoodです。(※2)
現在のローズネックは導管を埋める程度の塗装処理のみですが、艶のある表面塗装が施されているのもRosewood Limitedの特徴ですね。
指板とヘッドの突板はBrazilian Rosewood、ヘッドにはアバロンでPRSシグネイチャーロゴが入れられています。
(※2)ちなみにBrazilian Rosewoodをはじめにネックに採用したギターはPRS Original(※3)であり、製品化されたものは1999年に発表されたMcCarty Brazilianです。
その後Dragon2002の原型となったSinglecut Brazilian(2001年)、SANTANA Brazilian(2003年)が製作され、2004年に歴史的名器の呼び声もあるModern Eagleと513 Rosewoodに引き継がれていきます。
2003年には、Custom22/24とMcCartyでBrazilian Limited Editionが発表になります。
こちらはMahoganyネック、Brazilian Rosewood指板です。(つまり、ネックもBrazilian Rosewoodの物はブラジリアンリミテッドシリーズ(or エディション)とは呼ばれません。上記のように“何々ブラジリアン”という名称の物が本物のネックまでハカランダの物となっています。)
混同されやすいので注意が必要ですね。
(※3)PRS Originalとは・・・
PRS社がローズ系の材をネックに使用した歴史は意外と古く、94年にDragonIのPrototypeでBrazilian Rosewood(ハカランダ)をネックに使用しています。
若き日(というほどむかしでもないですが)のPRS氏と件のPRS Original。
このPRS OriginalはMcCartyの原型となったギターであり、クルーソンペグ、カバードピックアップ、マッカーティ厚のボディ、Violin Amberフィニッシュ(その後多くは生産されず、現在も非常にレアなカラーです)を採用した初めのギターだとPaul氏が語っています。
このギターはPRS Originalと呼ばれPRS氏が自ら所有し、数々のライブやデモンストレーションで使用されました。
PRS氏が「My Baby」と呼ぶスペシャルな一本です。
その姿は洋書『PRS Book』やリットームック『Paul Reed Smith』の特典DVDで見ることができます。
閑話休題。
Rosewood LimitedにはTree of Life(フラワーインレイ)というもう一つの大きな特徴があります。
精緻でエレガント、トラディショナルなデザインのインレイはただ細かいだけではなく、種々のパールにエッチング(象嵌)を施した、当時のポールリードスミス社とパールワークス社の技術の結晶と言えます。
このTree of Lifeインレイは以前はPrivate Stockでもオーダーが許されていなかったという話もあり、今や3,000本を数えるPrivate Stockのなかでもあまり多くの本数は製作されていません。
実はこのRosewood LimitedにTree of Lifeインレイを組み合わせることを提案したのは、PRS好きにはおなじみ、Bonnie Pinkの名前の由来となったBonni Lloyd女史なのです。
ハードウェアはほぼMcCartyに準拠しており、クルーソンペグ(一部ブリッジに合わせロッキングチューナーの場合もあったそうです)、McCartyピックアップ、PRSストップテールブリッジを搭載しています。
オプションでセミホロウボディやトレモロ仕様も存在はしているようですが・・・未だ見たことがありません。
ただでさえ見かけることが少ないのに、上記オプション仕様の物なんてどれくらい存在する物なんでしょう(笑)
カラーはBlack Cherry、Gray Black、Purple、Violin Amber、Violin Amber Sunburstの5種。
Rosewood Limitedでローズウッドネックの良さを認識したPRS社は、その後1997年にMcCartyモデルにローズネックオプションを追加します。
やがて2007年いっぱいでMcCartyが生産完了するのと入れ替わるように、Customにローズネックオプションが追加され、現在に至ります。
この《Rosewood Limited》を現代のPrivate Stockチームの手で、当店代表ならびにPSチームの総責任者がセレクトした最高の材を用いて製作したギターが上記の《PS#2410 Tree of Life -Rosewood Limited- Vintage Violin - Black Roseneck McCarty》です。
詳しくは弊店HPをご覧ください。
いかがでしたか?
希少なRosewood Limitedとローズウッドネックの歴史について書いてみました。
歴史を紐解いてみると、これまでのPRS社の歩み、ビジョンやギターの背景が見えてきて興味深いですね。
こんなふうに書くと、自分の知識の確認になって非常に勉強になります。
老化防止になりそうです(笑)
皆さまのご質問、ご感想、お問い合わせ、ご来店を心よりお待ち申し上げます♪
それでは・・・。
2011年04月17日
この記事へのトラックバック
PRS Custom Shopがその後プライベートストックチームとなるんですよね。
今回のRosewood Limitedだけでなく、PRSの歴史的モデルを紹介するシリーズなど
やっていただけると良いのではないかと思うのですが。いかがでしょう?
それから、近々McCartyのメンテナンスをお願いする予定ですのでよろしくお願いします。
ご無沙汰しております!
コメントありがとうございます♪
仰る通り、PRS Custom ShopはPRS氏とJoe Knaggs氏の手による《Guitars of the Month》を経てプライベートストックチームになります。
そうですね、またご紹介したいと思います♪
なかなか記事作成に時間がかかるので、頑張って書きますね(笑)
マッカーティのメンテ、お待ちしておりますね!
コメントありがとうございます!
#2410の入手、おめでとうございます^^
当時、材を現地で選定し、すべてこだわり抜いて製作した記憶がございます。
サウンドや生音の響き、弾き心地の良さはもちろんのこと、
木材やインレイ、カラーリング、塗装の質感まで含めて、素晴らしい一本でした。
オーダーギターの参考にされる方も非常に多かった一本です。
是非お店にも遊びにいらしてください!
#2410の元気でいる姿も拝見できましたら幸いです。
お待ちしております^^
Tでございました。
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